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2014年1月16日 (木)

ミトコンドリア・ミステリー

ミトコンドリア・ミステリー

林純一 著

ミトコンドリアにもDNAがあると発見されたのはたかだか20年前と言うつい最近であるが、細胞核のDNAの解析が進んでいる現在はちょっと傍流であるかに見える。
なんかすごい時代ではあるなあ。

著者は、がんセンターの勤務医で、ミトコンドリアDNAがガン発生のメカニズムに関与しているのでは?という仮説からこの研究に取り組んだが、目立った業績は上げれなかったということで、一旦は挫折しそうになる。
しかし、ミトコンドリアそのものに関心が向き、このエネルギーを生み出している不思議な機関そのものに惹かれていくのである。
太古、別の生き物だった、核とミトコンドリアが合体し、代謝に毒だった酸素をエネルギー源に換えて更に進化していったなんて言う説は奮いあがりたくなるような卓見である。いやあ、おもしろいなあ。
著者がミトコンドリアに魅せられていってしまうのもわかる気がする。
何が出てくるかはわからない。
その方向は、現世の利益には関連はないかもしれないし、莫大な価値を生み出す無限の大地かもしれない。
でもそんなことはいいのだ。
この研究は、必ずなにごとかに結びつくし、利益を生み出すのは最後のランナーだけだ。基礎の膨大な費やされた時間が最後の価値をきめる。更に言ってしまえば、人間への価値は他のものの負荷になっているあざなえる縄になることを深く感じなければならないと思うね。
ラグビーで言えば、バックスのトライは、フォワードの半歩の速さが決めるものなのだ。
著者は、成果の出なかったガンとmtDNAの研究が最後に生きてきて、人脈、経験、ひらめきがミトコンドリア病の解明の結びついたことをあげ、「ひょうたんから駒」が科学の楽しさだと喝破する。
なるほどねえ。
知識を増やす意味だけではなく、おもしろい自叙伝を読んでいるようにも思ったね。
第一線をはなれ、親の介護をしながら、もう一度学術論文を書くつもりでこの著作物を著したそうだ。
人には様々な人生があるなあ。

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コメント

ミトコンドリアのDNA発見は20年前・・・高校時代の生物の授業で、細胞の模式図を必死で覚えていた頃は、まだ発見されていなかったんですね。
o1211さんのように、学び続ける意味や価値を、改めて思いました。
ミトコンドリアに魅せられる気持ち、何となく分かります。
最もコアで、しかも個性も持ってるなんて!
「ミトコンドリア・ミステリー」 早速図書館で探してみま~す^^

講談社のブルーバックスですね。
マックスウェルの悪魔とか相対性理論とか不確定性原理とか、この新書はけっこう理系の子達の愛読書でしたね。
ミトコンドリアDNAは母のDNAからのみ遺伝するそうです。おもしろいですね。
ATPサイクルに深く関与した小器官で、ほんと興味深いです。なんかすごい発見がありそうに思うんですが・・・

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