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2014年1月18日 (土)

農薬混入事件

帰り道、業務スーパーによったら、冷凍食品が激減していた。
例のアクリフーズの農薬混入事件の影響で、同社のものが一斉に回収された感じである。
製造過程で農薬が入ることは考えにくいので、故意に入れられたものか、作業員に事情聴取しているとある。

俺も弁当でアクリフーズのもの食べてるよ。なんか恐ろしいなあ。
やはり低賃金、重労働、身分の不安定という雇用の問題が根底にあるような気がするのだが、恐ろしく思うのは、それに対する抗議の仕方だ。
強烈な無力感が、いびつな形での復讐につながっていないだろうか?
無差別殺人じゃん!
農薬を混入させるのは、大きな犯罪であり、許せないことである。

アンナハーレント流に言うと「凡庸な悪」が大犯罪の根底にある、と見える。
アウシュビッツ収容所の責任者、アイヒマンは、律儀で、従順で、判断を上層部に預け、淡々と事務をこなすように、虐殺を繰り返し、裁判の際は無実を主張した・・・
このアイヒマンの罪を、アンナハーレントは「凡庸な悪」と呼んだ。彼のあまりにも普通な感じがそういう印象を与えたんだろうし、それはすべての人に当てはまる。
「凡庸な悪」は、一見良識ある意見のように思うが、極端な意見を受容し、増幅してしまい、集団的無責任、自己保身に必ず結びつき、結果、異端なものへの攻撃性に結びつくと言う特長があると思う。

「国際競争に勝ち抜くために、働け!」と言う掛け声に、従順に従わせ、そして心と体が限界を超え壊れたら、切り捨てる。
これは「凡庸な悪」ではないのか?
そして、最後の砦の社会保障も改悪され、「働くものも権利と生命を守ろう!」と言う声は「贅沢だ。わがままだ。」という大合唱に消される。

心身を壊されたものはどこにも行くところがない。

その絶望の臨界点で犯罪が起こる・・・
世の中の声が、時に上司の声だったり、家族の声だったりになり、自分を責めるように感じ、極私的な復讐が、社会に対する攻撃に転嫁してしまう・・・こんな構図が浮かんでくる。いまや、いつだれが心身を壊しても罪を犯してもおかしくないなあ。

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