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2012年7月23日 (月)

消費税と相続税

相続という概念は、国、地域によって体系がぜんぜん違う。
所有という概念と富の蓄積についての考え方が千差万別だということだ。

日本の相続の場合、民法上決められた相続人による法定相続と、土地に対する路線価方式による相続税課税が根幹をなしている。
資産の多い個人でも「三代続けばすってんてん」となるのが日本のあり方である。
別に道楽息子でなくてもそうである。確定申告で所得は明らかだし、ずるすればすぐばれる。
伊丹十三監督が「お葬式」という映画の自己解説で、「日本は相続社会主義といわれている。」と指摘していたが、あたってなくはないと思う。
イデオロギーとしての宗教が社会の仕組みの一端を担っていれば、公平は「ボランティア」「寄付」「喜捨」ではかるという感覚もあるかと思うが、日本の戦後は、行政組織を通じて公平をはかるという仕組みが、財閥、門閥、家制度といった戦前のシステムを断ち切る意味を含め、人工的に与えられたと思う。
シャウプ勧告に基づく税制改革がその根幹だった。制度に対する不満はさまざまあったと思うけれど、自治的、自立的、世俗的統治は退けられ、法による統治が強調されたということだろうと思う。徴税権はまさに権力行政である。
こうなってしまうと、権力部分を担う行政組織が、法令順守を叫び、立法府と行政を支配することになってどんどん肥大化してしまう。これが「お上無謬信仰」というべき状況であって、受験による選別方式の勝者が、官僚群やそこから派生した政治屋群を形成する。こんな賢いやつが、自分の利益で動くはずがない・・・エリートが我々を守ってくれないわけがない・・・
一方、一部上場の企業などは、赤字決済の演出と貸し倒れ引当金などの内部留保の蓄積をはかりつつ、昨今では、グローバル化と称する本社移転や資産の分散化などで、たくみに法人税を逃れるすべが確立している。
また、日本の大半を占める、戦後、身を粉にして働き、蓄財し、必死に発展してきた多くの中小企業やその創業者たちは、いつの間にか貯まった個人資産が、国に相続税として巻き上げられるという感覚を持っていると思う。
どんなに働いても巻き上げられるんかい!公務員はいいな!怒!というのが、すべての税金に対する感情であると思う。「お上無謬信仰」の崩壊である。エリートは、利己的であり、敵である!と考え始めたのだと思う。
当然今までも相続税にまつわる問題点は顕在化していたが、金持ちの悩み論で片付けられていた。
しかし、少しずつ、戦後の創業者で鬼籍に入られる方が増えてきたのだ。個人資産の相続税を逃れるすべを、必死に考えていると思う。
戦後の日本では、法人税、累進課税の所得税、財閥を防ぐ意味を持った相続法の整備が、税を通した公平のための分配の機能だった。しかし、やはり、これだけの情報化社会、劇的に変化した現代社会においては、制度疲労は起こしているし、このままいけば、金持ちは金を持って海外へ流出していくだろうと思う。そうすると、日本の雇用とマーケットが小さくなり、ある意味の生き辛さが拡大してしまうことも考えられる。銀行はますます貸し渋る。
さて、どうすべきか?
資産形成が、工場の移転やインターネットを使ったマーケットの拡大による世界規模市場となっても、税の仕組みは地域に限定された法制度の適用がなされる。
したがって、金はどんどん有利な方、有利な方へと流出していくということになる。
となると、必然的に、税収が下がり、これだけ赤字国債を発行しつつ、ドーピング的事業展開をしていた国家の維持は、逆累進の間接税に頼るしかなくなるのだ。事業は中止したとしても、返済は残るし、踏み倒せば国際的信用問題である。これが、戦後の政治の大きなつけである。特に自民党!
で、消費税増税。これが政府の答えだった。
これが、消費税率アップの大きな理由であり、再びパンドラの箱が開いたのだ。
福祉、復興目的税にしたいという政治屋の言葉を信じている人はいないと思う。
一言断っておかねばならないのは、赤字財政は、高福祉高負担か、低福祉低負担かという理念の争いではない。
私利私欲、我田引水の税金の湯水の垂れ流し事業のつけだということを覚えておかなければならない。ただ、つけは返さねばならないのだ・・・

小沢氏を見ていて、上に書いたようなことを考えた・・・
豪腕で地元に事業を持ってきて、権力の中枢にいて、選挙に熟知し、自ら作った党を割る。
彼の論理の中の消費税を反対する理由が、俺にはわからないなあ。つけを散々後世に残したのは田中内閣の中枢にいた彼ではないか!返そうと普通思うもんだろうと思う。神経が常人とは違うんだろうね。

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コメント

相続税は職業柄、たくさん取られる云々よりも兄弟で骨肉の争いをしてる場面に立ち会うことの方が多いなあ。
消費税も含めて今の政治は金がらみが多い。えらいこっちゃ

消費税は所得税と比較されることが多いので、ちょっとね、相続税との比較を無理無理考えてみたのです。
税は公平化の原点として与えられているはずだし、社会保障の充実と累進課税が原則だと思います。
減税論と消費税反対論が錯綜として整理したかったのです。
相続は、悲劇を目撃してますねえ・・・

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