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2012年6月23日 (土)

漁協って何?

協同組合という考え方は、実に日本的かなと思う。
特に第一次産業にとって、密接に生活に連動している組織だろうと思う。
ここでは、ちょっとだけ内水面漁業法に基づく漁業協同組合について考えてみたい。

もともと、川の自然の産物は誰の所有にも属していないが、それを商品として扱い、売りさばき始めると、根こそぎの乱獲が始まってしまう。
協同組合とは、地元の人たちが、再生可能な分だけを計画的に採捕し、自己消費や自分の生活の生業とし、再生産のためのガイドラインを作り、当然、組合としては、単年度で利益を出さないというのがその本旨なんだと思う。
その組合員資格はどうかというと、その地域の居住と組合費の納入、また、必要は労働力の拠出が、主な要件になっている。
また、釣りに関しては、入漁券の発行によって、一般に門戸を開くという仕組みである。
俺は、漁協の果たしてきた役割は評価できる部分が大きいと考えている。
純法理論的に考えると、川の自然の産物の所有権が誰に帰属するのか、堂々巡りの議論になってしまうと思うが、これは論理の微分的展開というべきものであって、傾向として、一定の制限、金銭の授受による河川管理を本旨とするのであるならば、地元の人を優先する、漁協の存在には説得性があると思う。
ただ、ここに現代的問題が付加される。
補償金である。
とくに、ダム、そして河口堰。
漁協をこの補償金の受け皿として扱い、当然様々である組合員の意見を染めていってしまう、そんな機能を持たせたのが、財界、政治家、官僚だったと思う。
それは、小賢しい国家犯罪だったと思うのだ。
公共事業という名のドーピングとも言える雇用創出と国土の建設と破壊、そして、原発をはじめとした、巨大建造物の後始末が未来に残された負の遺産である。

もちろんすべて無駄な工事だったとは言わないが、すべてが必要だったのか?
川で言えば、ダムがもたらした、浜痩せと低水温、シルト化の問題。
治水、利水を言いつのっていた官僚、学者が責任を取ったという話はトンと聞いたことがない。
地元の人だって、莫大な金を目にすれば変わってしまうし、それは、生業としていた川の成果物がなくなる前提での金、なのである。
それに見合う河川管理などは、漁協の仕事ではないし、結局、大掛かりな放流事業を行うしかないのだ。
戦後の日本の川の歴史、鮎という魚の歴史を考えると、この問題にぶち当たらざるを得ない。
鮎という魚は、その日本特産といっていい生息範囲、川の河口から中上流域までを必要とする生態、1年で死んでしまうはかなさ、苔を食む独特の食性、香り高い食味など、日本を代表し、また誇っていい魚だと思う。
鮎にとって、中流域での小砂利のあるところでの産卵、川を下り、河口域での回遊、遡上、縄張り形成、やや下って産卵、そして死というサイクルを壊されては、いくら放流事業をしても、再生産にはつながらないのだ。
琵琶湖の稚鮎が河川放流されると普通のサイズに育つ石川千代松博士の発見や、冷水病に強い群馬水産試験場の鮎など、研究がすごく進んでいることはわかる。
鮎は環境指標だと思う。
鮎は、川そのものであり、漁協によって鮎を釣らせてもらうのではなく、天然の鮎が生命の循環を全うできる川であれば、本当の鮎釣りができるのではないか?俺はそういう釣りがしたいし、それは、ほかの生物、ひいては人間を育てることにもつながるんではなかろうか。

矢作川は、都市型河川で大きな都市、工場を抱え、取水に、電力に、治水に、とダム、堰堤で寸断されている川である。
天然遡上など不可能に思えた川だ。
それが、周囲の人々の努力もあり、かなりの上流部まで天然遡上の鮎がいる川になった。
魚道の整備、放水量調整、くみ上げ放流、魚道の中の産卵場つくり。
新しい試みが随分見られ、成果を挙げている。
釣り人は、否が応でも理解しなければならない。でないと釣れないと思うよ。
矢作川漁協は、補償金を研究に随分まわしていると思う。生態の研究とそのデータに基づいた方針、おそらくトヨタの企業としてのあり方や、環境保全のことも、随分勉強していると思う。補助金などももらったりしてるかもね。

まだまだだったり、足りない部分はあるかと思うが、もはや、一部の官僚や企業の思惑でどうこうはできない段階にはあるように感じた。
そしてこの再生への試みこそ、ポストダム、ポスト原発への道ではないだろうか。

もうちょっとこの川を感じてみたいね。

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コメント

問題点がよく整理されていますねぇ。どこかに発表したら?名古屋じゃ目立つから豊橋の東三河新聞とかさあ。

潮干狩りにも言えますね。
その日の朝に撒かれた貝を拾い集めるより、やはり天然の貝のみを探し当てたい。
たとえ収穫量が少なくとも嬉しさが違いますもんね。

sinoさん、お疲れ様でした。
結局、つりとか自転車とかなんか考えちゃうんだよなあ。
自分がニュータイプの職漁師のような気がして、こんな文になってしまうんです。
持ち出し一方なんだが、気持ちが数そろえる方向にむいてます。
漁協、漁協ねえ・・・

ojさん、そうです。あの浜を意識するのもそういうところなんです。
まずは楽しんで、おいしくいただいて、それからです。考えるのは。

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