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2012年3月 5日 (月)

親の卒所旅行~番外編、伊勢路と誓子

山口誓子。
伊勢路のおかげ横丁になぜ彼の俳句記念館があるのだろう?こじんまりしていたが、けっこう居心地のいい空間だった。

購入した俳句集は、社団法人、俳人協会編、自註現代俳句シリーズ・Ⅰ期28 山口誓子集。

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京都に生まれ、東大法学部を卒業後、住友本社に勤め、ホトトギス同人となり、のち天狼主宰。
旅が多かったようだ。
この自薦句集300首に伊勢路、美濃路も随分出てくる。
伊勢路については、相当愛好していた様子が伺えるし、誓子の薫陶を受けた地元の俳人が多くいたということなのかと思う。この俳句館に、誓子を敬愛した人々との句会の映像が浮かんでしまう。
その中では、誓子は伊勢の美し物を口にしながら、飲みかつ語り、楽しそうに笑っている。そんなイメージだ。
句集は大正13年から昭和53年までの間の300首で、長きにわたり作句され、その句風の深化や変遷がぐっと感じられた。
大正から昭和初期の頃の句については、青春期の鬱屈やたぎりが感じられる。何者であるかの自問と、ざわめく感じの句が多い。
学問のさびしさに堪へ炭をつぐ
かの巫女の手焙りの手を恋ひわたる
手花火に妹がかひなの照さるる
ホトトギスの花鳥諷詠という感じより、真情の吐露が先に見える句風に思われる。
その後、芭蕉を虚子とともに研究し、自然を詠む角度を自分なりに身につけて行ったのではないか?
戦時中の俳句には、自らと自然を凝視するような姿が感じられる。
時世を諒とせず、内面の観照にひたすら没頭されていたのだろうか・・・
蟋蟀が深き地中を覗き込む
碧揚羽通るを時の驕りとす
つきぬけて天上の紺曼珠沙華
その後、どんどん脂が乗ってきている感じがある。
昭和40年代は全盛期だなあ。旅の俳句にも、雄渾な筆致の水彩画といった趣きがある。
この頃、もし本人に接したならば、その作句の方法論やものの見方に惹きこまれてしまったかもしれないね。そういう求心力のある句だ。
御遷宮万代守護の白鳥座
鮎に張る鶴翼の陣下り簗
げんげ田の広大これが美濃の国
枯芝の密青芝の密のまま
春潮に飛島はみな子持島
俳句って、世界で一番短い短編小説だと思っていたが、彼の俳句を読んでいたら、世界で唯一の文字で描く風景画という気がしてきた。
この力の源泉はどこなんだろう?
ラグビー俳句もあったぞ!
隅の隅にてラグビーの最後の勝ち

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コメント

鮎に張る鶴翼の陣下り簗
げんげ田の広大これが美濃の国
この2句が好きですね。
下り簗で鮎を捕る、あの簗のスタイルを「鶴翼の陣」などと大げさに詠んで、鮎を1匹も逃がすまいという意気込みを買いますね。
私は岐阜産の「れんげ蜂蜜」で育ったので、この句には思い入れが強いです。母が毎年春に「蜂蜜」を一斗缶で買っていました。岐阜のレンゲ畑へ買いに行くのね。

「俳句って、世界で一番短い短編小説だと思っていたが、彼の俳句を読んでいたら、世界で唯一の文字で描く風景画・・・」
素敵な表現ですね。

無知な人間の代表として恥をしのんであえて聞きます。
山口誓子は男?

何者であるかの自問とざわめく感じの句が多いなんて・・・。その俳句集、読んでみたいです。
古典・和歌等々、昔も今も人の迷える気持ち、恋する心、自然を愛する心、変わらないんだな・・・、と。
未来からみると、今生きているこの時代も一瞬の光・・・何も無い自分は何を残せるかしら。

sinoさん、げんげ田と鶴翼の陣ですね。
俺は美濃に縁があるので、めちゃわかるんです。揖斐川と西濃地方を詠んでますね。
ダム前の暴れ川の揖斐の頃だと思う。遊水地の緑肥とぶっとい川幅です。
まさに、れんげとやななんです。
知らない風景なのに、記憶があるように思ってしまう。

ojさん、男ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E8%AA%93%E5%AD%90
本名のちかひこが「誓ひ子」になって、俳号になったようですね。
病気されて、会社を辞めて、今でいうプロの俳句師になったということかな。
なかなか、壮絶な人生だったもかもしれませんね。

mashichanさん、昔の方の人が深く感じてかもしれませんね。
生きる困難は多かったでしょうから・・・
人は生きているだけで充分何事かをなしてますよ!
子を育て、おいしいものを食べて、げらげらわらって、素晴らしいじゃないですか!自らの到達点を過小評価してはいけません。
句集、お貸ししますよ。どう受け渡そうかなあ。

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