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2012年1月12日 (木)

中国怪異譚3

もういっちょ。聊斎志異。

俺が小学生の頃読んだ話だ。「美女の首」。

朱爾旦は、受験生(またもや!)で、出来は悪いが豪胆な男で通っている。ある日、受験仲間から「真夜中に十王殿にいって、木彫りの判官様(閻魔大王の補佐役)を背負って来たら、おごってやる。」といわれ、不気味なうわさがある真夜中の十王殿にいって、やすやすと担ぎ出してしまう。みんな恐れ入ってしまうが、朱爾旦は判官様に感謝し、お供え物をして、丁寧に扱い、またもとの位置にもどしておいた。

とある夜、どしんどしんと、判官様が訪れ、いつぞやの歓待に謝意を申し述べた。喜んだ朱は、更に歓待し、懇親を深め、そのうち毎夜になっていった。ある日、連日の接待に疲れた朱は、判官様の前で居眠りをしてしまった。そして、ふっと気づくと、判官様がおのれのはらわたを掻っ捌いているではないか!驚いて詰問すると、最近死んだ奴でいい心が手に入ったので、移植しているとのこと。(はい~?)翌朝、腹を見てみるとうっすらと線が…その後の成績の伸びは目覚しく、あっさり科挙にも合格し、どんどん栄達していく。

朱は、あつかましい願いを思いついた。自分の妻が不細工なので、首をすげ替えてくれないかということだ。判官様はあっさり了承し、最近殺された美女の首を持参し、妻が寝静まったところを見計らい、さくっとすげ替えてしまった。びっくりは本人と周囲である。さらに、その美女のご両親も大騒ぎになり、朱は犯人扱いだ。判官様は早速本人を夢枕に立たせ、真犯人を告げさせ、朱の冤罪をはらしたのだった。

そうこうしてるうち、判官様は朱の寿命が来たのを知り、その準備を命じた。家族は泣き暮らしたが、本人は判官様の仕事を手伝い、ときどき、冥界の官吏として訪れるので歓待するよう命じ、生きている時と変わらず、毎夜判官様と家で宴会を続けたそうだ。

その後、冥界の仕事で遠方へ赴任することになり、別れを惜しんだが、10年後再会することを約束し、ふっと消える。

そして10年後、子どもの前に現れ、佩刀を授けた。するとその子どもは、栄達を重ね、更に孫も栄達し、めでたしめだたし。

どうですか?このストーリー。

なぜこのストーリーが児童書に載っていたのか…すっかり忘れていたのだが、改めて思い出してきたぞ!眠れないほど怖かった記憶だけはある。

ここで臓器移植を想起するのは、現代人の悪い癖である。

受験だの出世だの単身赴任だのといった、現代風のストレス社会となんらかわらない当時の世相に、怪力乱心の妖異がからまり、その読後感は、決してさわやかではないが、妙に共感してしまう。で、更に考えると、この俗な欲望をここまで肯定するかと、うーん…としおれてしまう。中国は、すげえ…

この児童書の出版社は、豪胆、親切を突き詰めると、出世するよとでもいいたかったのだろうか…でも、美女の首のすげ替えだぜ!えげつないよなあ…

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コメント

中国怪異譚シリーズ面白い!
大人になってから読むのと子供の頃読むのでは感覚がまるで違いますよね。

1つご質問。
物語はコピペ?それとも記憶を頼りに自打ち?
記憶を頼りだとしたらスゴ過ぎるんですけど・・・。

子どもの頃本棚に「世界の昔話」シリーズ、全25巻くらいってのがあって、絵本なんだけど、1巻ずつ国別で、今思えば、どれもけっこう怖い話だった。近年、ほんとは怖い大人のためのグリム童話が流行ったりしたし、やっぱ童話は怖いんだ!

ojさん、記憶だけどたいしたことないよ。
西遊記、金瓶梅、水滸伝、三国志。いろいろあるけど、聊斎志異は異彩を放ってますねえ。日本は中国にものすごく影響を受けて恩恵を受けていると思いますね。
この文化のタフさやしたたかさを目の当たりにするようです。

sinoさん、真実はきれいごと抜きになまなましいということかな。
童話のもつ怖さはこのへんにある。それに砂糖をまぶしたのはディズニーかなあ。
岩波文庫で読もう!
ガリバー旅行記、ロビンソン漂流記、海底2万マイル、白鯨。
日本も、漱石、鴎外、太宰、芥川。
大人読みはどうなんだろうね。印象が違ってくるかな?

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