« 俳句でないと | トップページ | 初句会 »

2011年10月 9日 (日)

回し読みの会、「阪急電車」。

となりの姉御の回し読みの会、推薦図書は有川浩氏の「阪急電車」。

「詠んだら、DVDもみなさい。」とは、姉御の言。ははー。

恋愛中心の人間模様。

阪急電鉄今津線の乗客たちのからみとそれぞれの物語。

各章が駅名になっており、宝塚駅から西宮北口駅、折り返して再び宝塚駅。16章立てで、登場人物が章立てで錯綜とし、オムニバス風なつくり。

ホテルの宿泊客の人生譚のような手法の電車版とでも言うのかな。考えたねえ。構成もうまいし、文章もつるっと入ってきて、登場人物の人生の機微がふわっと匂いたつ。

「人質たちの朗読会」もそうだが、章立てをこのように連関させ、連携短編といった仕立ての作品が多い。ケータイ小説の発展と、現代のめまぐるしい世相のせいかな。考えてみると、歌もそうだね。連携短編歌詞だ。お、こりゃ、キーワードだ。

解説は、故児玉清氏。この作家のファンのようで、大はしゃぎで薦めている。なんか死を意識していたのかな・・・遺言のようにも感じる。この作家を世間に広めるのは俺の仕事だあといったような・・・

図書館帰りの社会人五年目の青年、自分の好みの本をいつも先に借り出す妙齢の美女を意識している。とある日電車で出会い、ふっと近づき、生ビール飲みに行くのは今日だと決意!そこに乗り合わせた純白のドレスの女性、男を寝取られ、その結婚式に白いドレスで出席、復讐を果たした気持ち。その人に興味津々の幼い女の子とその祖母。かなり厳しい人。その人の話からけんかになるカップル。DVで悩んでいる。その祖母のきつい一言。また、乗り合わせていた女子高生の絹という字も知らない彼氏の話に聞き耳を立て、別れを決意する。

とまあ、書き出すと次々にねたバレになってしまうので、この辺までにしたいが、構成も文章も疾走感があって、読みやすいし、言葉の端々に工夫を感じる。

そういった手錬感はあるのだけれど、この作家の特徴は、真っ当なことである。

ツバメの巣の下に、傘をつるして、ふん害を防ぐ工夫をしている駅を持つ町をいい町として描き、荷物を置いて席を確保する、おばさんや高校生をど叱るおじいさんを真っ当に描き、少しずつ、ためらいながら、恋におち、暮らし始める、みんなもそうだったような既視感があり、風景やら部屋の様子やら家族の姿やらが、共感する。実に真っ当で、正義にあふれ、また、今津線界隈をこよなく愛している。

読んでいて、スリリングな部分もあるが、ぐっと安心感がある。

こりゃあ、映画化されるわ。

今の邦画の隆盛は一過性のものじゃないなあ。このプロットと構成は実に映画向きだ。キャストは、中谷美紀、宮本信子、芦田愛菜、谷村美月。

でも、キャストでひきつける必要もない。きっと、外国もって行っても受けるよ。日本映画の評価が確立すれば、こういう作品も必ず受け容れられると思う。見てないんだけど・・・まず、見てみるか。

« 俳句でないと | トップページ | 初句会 »

ライナーノーツ」カテゴリの記事

コメント

連携短編オムニバス、この手法最近特に多い気がします。良いとか悪いとかの評価ではなくって、手軽で読みやすいという点では◎だと思います。地下鉄の中とかいいんじゃないでしょうか。

連携短編オムニバスなんだ。読みやすそうですね。
実は気になってた映画です。
でも何故に「阪急電車」なのでしょう?
南海では?阪神では?
本を読めば解るのかな?

sinoさん、連携短編、ほんと多いですね。時間が切り張り状になってるせいかなあ。
埴谷雄高、死霊、全10巻とか、大西巨人、神聖喜劇、全20巻とかもう読めねえもんなあ。でも時間をかけてじっくりいろいろ勉強してみたくもあるなあ。

ojさん、関西では、なんか阪急電車はおしゃれなイメージが強いみたいですよ。西宮と宝塚が住みよい街でそこの電車ということで。
名古屋でいえば、星が丘近辺、おしゃれな東山線といったところかな。電車は皆交通局だけどね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/574941/52924698

この記事へのトラックバック一覧です: 回し読みの会、「阪急電車」。:

« 俳句でないと | トップページ | 初句会 »