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2011年7月23日 (土)

食をちょっと考える2

18才で名古屋にでてきて、そこそこ自炊していたのだが、いい加減なものだったね。

食べるということを意識して、作ってはいなかった。

食をめぐるエッセイを始めて読んだのもこの頃かな。なかでも、檀一雄と開高健、この二人は今でも時々読み直している。

開高健は世界を巡り、博覧強記、的確な評論と、柔軟だが屈服しない、しなやかさを感じる論理により、見聞きしたあらゆるものを文章化する人という印象がある。

「最後の晩餐」というエッセイ集があるのだが、何度読み直しても、これがおもしろい。

小笠原諸島のそうふ岩の釣りと蜜豆の話や、銀山湖の山菜取り夫婦の鯨の脂の話、カカオ豆の産地旧コンゴ共和国(現ザイール共和国)の宗主国だったベルギーのチョコは、カカオのスープである論、素人が造るチーズケーキの手間と原材料をケチらんが故のうまさ、古代中国の宮廷料理の再現、またまた、その喫人の話、などなど。

きらめく一遍の隻句が、心に沈潜してくる。

越前ガニを語る章で、京にカニを運搬する女性が多く強盗団に襲われ、強姦されたり、殺戮されたりしていたということを故水上勉氏に教示されているくだりがある。水上氏が、ばさっと髪をかきあげて、「だからなあ、開高。」とため息をつきながら、「おなごは、かなしいのや。」とつぶやいた。

こういう文に接すると、飢餓海峡を上梓した水上氏の原風景や、氏の持つ優しさにふれた気になってしまう。

機会があれば、読んでみてください。

一方の檀一雄氏の「檀流クッキング」という本なんだが、これもおもしろい。

開高氏に比べて、徹底的な料理のレシピ本で、作り方指南書なんだが、作る物、作り方に檀氏そのものを感じてしまい、惹きこまれる。

解説を故荻昌弘氏が書いていて、これがまた名文なのだ。今で言うスローフードの提案の先駆者といっていい。中国、アジア、ヨーロッパを放浪し、そこで食べたものをうちに帰って再現し、定番化した料理をコツとともに公開し、なんでも料ってみなはれ!的精神の鼓舞をしてくれる。

基本は、肉も魚もすべて捌いて食せということだ。

モツ鍋のうまさを最初に指摘した人じゃないか?また、プルピートスというポルトガル料理で、イカ墨ごと食べる提案をしたのも、彼だ。先見性がすばらしい。

トンポーローという豚肉の料理をこの本で知って、作ってみて、肉のうまさを教えてもらいました。茹でて、焼いて、冷やして、蒸すという贅沢な料理ですな。

また、心平がゆといって、詩人の草野心平が考案した、ごま油を水の1/8ほど入れて作るおかゆで、これは気に入ったなあ。今で言うと中華風おかゆかな。

そして、うなぎの蒲焼を作る章では、故太宰治と飲んでいた時、うなぎの釣り針に噛みあたったエピソードが紹介される。太宰氏は呵呵と大笑し、「檀君、これが人生の余禄というものだ。」と言った。

自死のどれぐらい前なのか、太宰氏の生前が活写されていると感じる…

また、長男の太郎氏の奥様が「私の檀流クッキング」という本を上梓された。固い学者の家庭から、料理をうまくするためなら夜中にでも買出しにいき、客も引きもきらない家庭に嫁いで、ご苦労はいかがなものだったろう。もう現場サイドの大変さと舅を敬愛している様子とか、美しい写真とともに楽しめる仕上がりです。自分の思ってた感じと違ったりして、視覚というものは雄弁だなあ。

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コメント

今度独り暮らししてたときに自分が編み出した料理や工夫があればそれについても書いて下さい。ちなみに私はお菓子のカツでカツ丼をよく食べていましたよ。

おれはコロッケを買ってきて、、ソースをかけて、食パンではさんで食べるのが好きだったなあ。安いし腹もちするし。8枚切りでは、薄い。6枚dりじゃないと納得できなかった…

そういうの好き好き!僕は他にフランスパン買ってきて中身をくり抜いて食べてそこに焼そばUFOを詰めて焼そばパンにして食べましたね。やはり基本は「安い」でしたね。

若いころはコンビニもなかったし、金もなかったんで、ずっと腹減ってた。基本下宿の仲間の家で、一人一品もち込みで賄いを作って、飲んで語ってたなあ。

はじめまして! sinosinoです。
拙ブログ「gatagata道を行く」リンクを貼っていただきありがとうございます。
こちらの主とはそろそろ22年の付き合いになります。
今日の食べもののおはなし、いいですねえ。コメントがまたいい。
夜中にニソニソ、あやしいおばさんになっています。
今後ともよろしくです。

sinosinoさん、こちらこそよろしくお願いします。共保仲間がそれぞれの人生を歩み、こういう形でふわーっと交差する。面白い!これからの人生楽しみが増えました。ガタガタ道コメント入れてきますね。そうそう、ojisanchezさんもよろしくしてやってください。こちらは、学童仲間です。

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